
うつ病などの精神疾患で働くことが難しくなった場合、「障害年金」という制度で経済的な支援を受けられる可能性があります。しかし、「実際にいくらもらえるの?」「どのくらいの期間支給されるの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、うつ病による障害年金の金額の目安を等級別に詳しく解説し、計算方法や注意点も紹介します。
障害年金の基本:制度の種類と対象者
障害年金には以下の2種類があります:
-
障害基礎年金(初診日に国民年金加入者が対象)
-
障害厚生年金(初診日に厚生年金加入者が対象)
うつ病などの精神疾患も、症状の重さによっては十分に支給対象になります。
うつ病は障害年金の対象になる?
うつ病での障害年金は、以下のような状態が認められると支給の対象となります。
-
働くことができない(または働き方が大幅に制限される)
-
日常生活に他人の介助が必要(1級)、必ずしも他人の介助の必要はないが、日常生活は極めて困難(2級)
-
通院・服薬を継続的にしている
→ 診断書(精神の障害用)と病歴・就労状況等申立書に日常生活を送ることの困難さをアピールすることが非常に重要です。
※日常生活の困難さと等級の関係では、
- 1級:他人の介助を受けなければほんんど自分の用を弁ずることが出来ない程度のもの
- 2級:必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入をえることが出来ない程度のもの
とされています。
等級別の受給金額(2025年度)
等級 | 年金種別 | 年間受給額(目安) | 月額換算(目安) |
---|
1級 | 障害基礎年金 | 1,039,625円 +子の 加算 | 約8.6万円 + 子の加算 |
2級 | 障害基礎年金 | 831,700円 + 子の加算 | 約6.8万円 + 子の加算 |
1級 | 障害厚生年金 | 報酬比例額 × 1.25 + 基礎年金+配偶者加給年金 | 個人差あり |
2級 | 障害厚生年金 | 報酬比例額 + 基礎年金+配偶者加給年金 | 個人差あり |
3級 | 障害厚生年金 | 報酬比例額のみ | 最低年額 60万円程度 |
※子の加算:第1子・第2子 各239,300円 第3子以降 各79、800円
※配偶者加給年金:226,300円(年額)
どのくらいの期間もらえるの?
-
初診日から1年6ヶ月経過後に申請し、その障害が認定された等級に該当する限り受給できます。
-
障害の状況により**更新(1〜5年ごと)**が必要です。
-
症状が悪化すれば等級が上がり、逆に軽快すれば支給停止もありえます。
※「子」とは、以下のものに限ります。
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
・20歳未満で障害等級1級又は2級の障害者
※ 厚生年金加入者は、過去の年収によって受給額が大きく変動します。
年金額の計算方法と具体例
【障害基礎年金の場合】
定額支給+加算(子どもや配偶者がいる場合)
例)2級+子ども2人:
831,700円 + 239,300円(1人目)+ 239,300円(2人目)
= 年額 約131万円(月額 約10.9万円)
【障害厚生年金の場合】
報酬比例:
①平成15年3月31日までの期間
+(1級・2級の場合)障害基礎年金
②平成15年4月1日以降の期間
+(1級・2級の場合)障害基礎年金
※保険加入月数が全体で300月未満の場合は、300月保障の計算が適用されます。
子ども・配偶者の加算制度
障害年金では、以下の扶養家族がいる場合、ご本人の年金にプラスして加算支給されます。
-
子ども(18歳未満、または20歳未満の障害者で、障害基礎年金・障害厚生年金とも対象)
-
配偶者(障害厚生年金のみ支給対象となります)
加算額(2025年度)
-
子ども1人目・2人目:各 239,300円
-
子ども3人目以降:各 74,600円
-
配偶者:226,300円(障害厚生年金1・2級)
※これらの加算から家族構成によりますが、おおまかな目安として、障害厚生年金2級の場合、報酬比例の年金を約70万円とすると、これにプラスして障害基礎年金831,700円と配偶者加算年金226,300円、さらに子の加算478,600円(=18歳以下の子が二人いる場合で、239,300円×2)がプラスされ、受給総額は約220万円となります。
どのくらいの期間もらえるの?
-
初診日から1年6ヶ月経過後に申請し、障害の症状が認定された等級に該当する限り受給できます。
-
障害の状況により**更新(1〜5年ごと)**が必要です。
-
障害の症状が悪化すれば等級が上がりこともあり、逆に軽快すれば支給が停止することもありえます。
まとめ:金額を知ることが第一歩
うつ病で障害年金を受け取る際の金額は、「等級」「年金制度の種類」「扶養の有無」によって変わります。
最初は制度が複雑に思えるかもしれませんが、金額を把握することが申請への第一歩です。具体的なシミュレーションが必要な場合は、ぜひ専門家へご相談ください。
※障害年金の受給が出来るかの要件は、こちらの記事からご確認下さい。