
会社でのパワハラや退職勧奨がきっかけで、うつ病を発症した自分。
ところがある時から、単なる気分の落ち込みでは説明できない「違和感」を感じるようになりました。
仕事中に、ふいに妄想や幻覚に襲われるようになったのです。
「もしかして、これは統合失調症かもしれない」―そんな不安がよぎりました。
この記事では、私自身の体験を通して、「ストレス‐脆弱性モデル」や、障害年金との関係についても触れています。
パワハラがもたらしたもの
「お前の代わりはいくらでもおるで」
「こんなミスするようじゃ、そのうち会社におられんようになるぞ」
そんな言葉を毎日のように浴びせられ、次第に私は「自分には価値がない」と感じるようになっていきました。
最初は不眠や食欲不振といった典型的なうつ症状が出ましたが、時間が経つにつれて、単なる落ち込みだけでは済まなくなっていきました。
気づけば、現実的な感覚が失われていた
ある日、社内の誰かが私の悪口を言っている「声」が聞こえた気がしました。
上司や同僚が、私の行動を逐一チェックしているような被害的な感覚もありました。
そう感じて、周囲を見渡してみても、皆、自分の仕事に集中しています。
そのとき、頭をよぎったのが「もしかして自分、統合失調症なんじゃないか」という疑念でした。
調べてみて知った「ストレス‐脆弱性モデル」
自分の状態を調べていく中で出会ったのが、「ストレス‐脆弱性モデル」という考え方でした。
これは、簡単に言うと、
・人にはもともと精神的に不安定になりやすい傾向(脆弱性)があり、そこに強いストレスが加わることで、うつ病や統合失調症などの精神疾患を発症する可能性がある
というものです。
つまり、「精神的に弱いから病気になる」のではなく、メンタルが強くとも誰にでも起こりうることだということ。
それを知った時、私は少しだけ気持ちが楽なったような気がしました。
労災だけじゃない。障害年金でも認められる視点
労災認定の仕組みはよく調べていて、このモデルの事は知っていたので、これが労災認定のときだけ使われる考え方かと思っていました。
でも、実は障害年金の審査でもこの背景が無視されているわけではないんです。
障害年金では、病名よりも「現在の症状が生活や仕事にどれだけ影響を与えているか」が重視されます。
だから、「なぜ病気になったか」を記す『病歴・就労状況等申立書』でも、ストレスのきっかけになった体験を書くことはとても大切なんです。
統合失調症かどうかの線引きは難しい。でも…
正直、自分が統合失調症だったかどうか、今ふりかえっても断言することはできません。
自分の症状を説明しても、主治医からは「うつ病性の妄想状態」や「適応障害の重症化」と説明されたこともあります。
でも、幻聴のようなものを感じたり、誰かに見張られているような気がして外に出られなかったのは、当時の私にとっては十分に深刻な“現実”でした。
最後に:自分を責めないでほしい
ストレスが続くと、人は簡単に心のバランスを崩します。
それが気分(感情)障害なのか、統合失調症に近いものなのか、正確に見分けるのは専門の精神科医でも難しいそうです。
でも大事なのは、「なぜ自分だけが」と自分を責めないことです。
私は病名にこだわるより、「今どんな支援が必要か」を一緒に考えてくれる主治医と出会えたことで、少しずつ立ち直ることができました。
もし同じようなことで悩んでいる人がいたら、この体験が少しでもその方の支えになりますように。